エロゲー 夏ノ雨 翠ss『雑談3』

夏ノ雨 翠ss『雑談3』
説明:翠ちゃんの憂鬱。
夏ノ雨プロローグのグラビアのくだりを受けて



「やべ」

「んー?桜井何してんのぉ?」

「…………テレビを」

「付いてないじゃん」

「…………」

「あぁん……?」
「…………(目を逸らす)」

「ねえ……今さあなにか……隠したよね……クッションの下にさぁ。桜井……?ふふ、ナニかねぇ……そこに眠っているのは」

「!!」

「桜井ホント分かりやすいんだから。ほら、出してみなさい。やだ?何もない?じゃあそこ立ってみてよ」

「それはだな……」

「あれだね!?宝クジ、エッチな本、ラブレター?」

「もう少し絞れよ……あっ、コラ」

「ほらほら、そのクッションを寄こしな……さいっ」

「断る!!あ、いや、やっぱそんな欲しいならやる!」

「わっぷ、あれ?あー、ズルイよ。背中に入れたでしょ?でもちょっと見えたよ、本だ。エッチな本なんでしょ」

「見ての通り、なにもない」

「だから服の中入れたでしょっ!脱ぎなさい」

「そこまでやるのか……」

「やります。愛読書は君主論です。ほら、脱いで。怒んないから。リカちんに言いつけたりしないから」

「意味が分からん」

「だから、エッチな本なんでしょ?それでリカちんに似た髪形の子のページに折り目つけてあるんでしょ。大人しく吐いてあたしに見せたら、内緒にしといてあげる」

「想像タクマシイなお前……」

「お前って言わないの。ほら、どうする?このまま脱ぐか、それともこれから一生リカちんに”私の半径3メートル以内に近寄らないで!”って目で見られるか」

「だからエロ本じゃないってのに」

「あ!ふふ、吐いたね、やっぱ何か隠してるんじゃん」

「あー、もう、クソ」

「悪態ついても事実は曲がんないんですねぇ……」

「ていうか帰れよ」

「帰るかどうかはあたしが決めるの。今日はリカちん家に遊びに来たんだから。あら偶然、桜井もいたんだ」

「ぐああ……」

「桜井、観念しなさい。脱いだら、出したら楽になるよ?そもそも大丈夫、桜井がどんな性癖を隠しててもあたしは友達やめたりなんかしないからね……いや、場合に依るけど」

「場合によるなよ……つーかエロ本違うってのに、もう、ホラ!!」

「ん!わっぶ、こら、人にエロ本投げるな」

「エロ本じゃねーんだよ青年紙と言え」

「ええ……?どれどれ……だって表紙からもう”禁断の大開脚中閉じ8ページ!”だよ?」

「それは……まあ……グレーな感じなんだよ。メインは漫画だ。漫画読んでたんだって」

「ははあん……」

「何だよニヤニヤしくさって」

「ふふふ……」

「肩叩くな」

「宗介ちゃんもお年頃だからねえ……女の子に興味も出るよねぇ……えっへへ、やだ!あたし身の危険を感じちゃう」

「鏡見て来い」

「…………失敬な」

「でもほら、中は大概漫画だろ?そういうことなんだ。ほら見ろ、なーにが”エッチな本なんだな?”だ」

「桜井……いいんだよ、強がらなくて。あたしには全部分かってるんだから」

「やめろよ……訳知り顔で頷くのやめろ。温かい目で見守るのもやめろ」

「だってさぁ、ほら。そおっとこのエッチな本を机に置くとね……パラパラとめくれていって開くのがこのエッチなページ。折り癖がついとるんだよちょっと桜井!変なもの見せないでよ!」

「自分で開けたんだろ……」

「やだー」

「それに水着着てる。ただのグラビアだっての」

「そうなの……?嘘ついてない?なんか肌色しか見えなかったよ?……やっぱ着てないじゃんかぁ!」

「手ブラって水着だよな」

「ばーか!ヘンタイ!HENTAI!」

「落ち着け、ほら」

「んぐ、んぐ、んぐ、ぷはぁっ!ありがと」

「おう」

「おかわり」

「自分で行け」

「…………」

「…………」

「…………(ぺらり)」

「…………」

「…………(ぺらり)」

「…………」

「…………(ぺらり)」

「…………」

「…………ねえ」

「…………」

「……ねえ。桜井。ちょっとね、訊きたいんだけど。変に思うかもしれないんだけど……いいかな」

「おう」

「その……そのね。やっぱり桜井もこういうの興味あるんだね」

「まあ、人並みに」

「あたしもね、ほら、いつだったか一緒にコンビニで立ち読みしたでしょ?エッチな本。だからなんとなく分かってはいたんだけど、それに別にこういう本自体はそんなに悪いものとは思わないし……」

「そういや逆だな、いつもは翠が俺に見せてくるもんな……”この子この脚どうなの?”とか言って」

「それでね、えっと……桜井は、桜井としてはだよ?」

「俺としては?」

「例えば、こんな……とかこんな、キレイな彼女がいたら……他のことはどうでもよくなっちゃう?」

「はあ?」

「ごめんね、ワケ分かんないよね。あたしも。だから……なんて言うのか、彼女がいたら友達はいらない?」

「いるだろ」

「ああん、そういうことじゃなくって。つまりね……男と女だからって付き合うのが一番いいとは限らないじゃない。もっと良い関係があるかもしれない。例えば、例えばだよ。今のあたしたちとか」

「おう……」

「あたしは、そう思ってるんだけどさぁ……桜井はどうなの、かなぁ……って。桜井だってもしかしたら、これから彼女が出来るかもしれない……例えばだけど、リカちんとか」

「それはねえなぁ……」

「なんでよ!リカちん可愛いじゃん!もう寝顔とか天使の域じゃん」

「いや、でも理香子だし……」

「訳分かんない」

「さっきから例え話ばっかで訳分かんねーんだよ」

「あ、桜井もなんだ」

「あのな、とりあえず」

「……うん」

「彼女は欲しい」

「そうなんだ」

「巨乳の彼女が欲しい」

「露骨な……そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうよ」

「別にいいよ、お前が居れば」

「そっか」

「おう」

「巨乳の彼女は?」

「……欲しい」


暗転