エロゲー 夏ノ雨 翠ss『雑談11』
夏ノ雨 翠ss『雑談11』
説明:共通ルート。
翠先生の特にいけなくない個人レッスン
「キコシメッス」
「そ。それ埋めて読むとどうなるかな」
「えー……、かやうに立ち泊りたまふ折々あれば、はかなき菓物、強飯ばかりはキコシメス時もあり」
「惜しい。つよめしじゃない。それこはいひね」
「はかなき菓物、コワイイばかりはキコシメス時もあり」
「文の主語は?」
「それは……あれだよ。敬語なんだろ。だから偉い人」
「誰よ、偉い人。お忍びでデートしてるんだから今、二人しかいないよ?光源氏か明石の君か。どっちが偉いの」
「ええ……?つまりだ。つまり、どっちかっつーと……見方によって違うわけで、決め付けちゃうと悪いわけで、要は、一概には言えないけど、ある意味……」
「…………」
「……源氏?」
「いけるじゃん!!」
「よっしゃ」
「ついでに訳してみよう」
「それは無理」
「無理かぁ……」
「キコシメッスが食うなんだろ。だから、コワイイ食ってるのは解る。あれか?アルファ米的なやつか」
「うん、そうそう、それで十分だよ。今はね、キコシメスだけちゃんと覚えとくんだよ」
「キてるな。今、スゲー降りて来てる」
「ううん。実はそんなには来てない」
「字は?」
「えーと、これはね。聞く、に召す、で聞し召す」
「……なんでそれで食うになるわけ?」
「なんで、かぁ。なんでだろう。ちょっと待って……。自分で調べたほうがタメになる気がするけど」
「腹減った」
「ふむ。うん、ええと……?尊敬語だから天皇家の人に使うわけだよ。光源氏とかね。天皇の仕事って基本的に今で言う総理大臣だよ。色んな人の報告を取りあえず聞くわけ。陳情とか工事の進捗とか宋が攻めてきたとか今年の茄子は絶品だとか」
「はあ」
「そんなこんなで聞いてばっかいたから、天皇の行動全部きくで言い表しちゃっていいよねって。そんなことみたい」
「よくねーだろ。食うでいいじゃん。分かりづらい」
「そう言われてもなぁ……。言葉の発生は逆順なわけだし、あ、ごめん。ナシナシ。今の無し」
「おう……?」
「天皇家の家紋は菊だから聞く!こー覚えとけばいいよ。皇族の行動は食事も酒飲みも統治もホントに聞くのも全部聞く。で、偉いから尊敬語にして聞す、マックス偉くしたいから召すもつけて聞し召す」
「うーん?ちょっと待て。食うだけじゃねーのキコシメス」
「残念なお知らせだけど……」
「キコシメスは食うなんだろ?」
「そうだけど、そうじゃないときもあるんだよ。あー、こら投げない。投げない。大丈夫だから」
「うがー」
「ちょっと手間はかかるけどね、場面がご飯時っぽかったら食べるって訳せばいいんだよ。今だって菓物とか強飯とか出てきたでしょ」
「さっきと話が違う」
「そー言わないの。ほら、偉い人が食べる。聞し召す。聞し召す」
「ありえない。地動説くらいありえない」
「お食べになる。聞し召す。聞し召す」
「うーん……」
「はい。じゃあ次、問の2いってみよ〜」
「その前に休憩。休憩を要求する」
「これ正解したらいいよ?」
「いずれ正解するから先に休憩する」
「桜井……、お願い。約束して。将来お金に困ったら、まずあたしに言うんだよ……?」
「なにそれ」
「はい。問の2ね。今度はただのクイズだから。これはどーいうことを言っているでしょう。『御召しに由りまして参上仕りまして御座います』」
「うん?」
「考えてみて。候文ほど面倒くさくはないと思うから。お召しによりまして参上仕りましてございます」
「オメシニ……なんだっけ」
「だからぁ、お召しによりまして参上仕しまりし……つっ、仕まりてしん……」
「ふむ」
「け、敬語の意味を取るときは余計なものを省いていくんだよ?お召しになりまして……よりまして……」
「うん」
「参上仕るま……つまかりして……つかり……」
「ううん?」
「つぬ……、ぬぬぬ……!つかしま!……つかッ!桜井ぃ!!」
「人にあたるなよ……」
「待って、待ってよ。お召しに、よりまって……」
「落ち着いて」
「お召しによりまって……、さんじょう……、つかまっ、つりー……まかりして……」
「お召しによりまして?」
「……休憩しよ」
暗転