エロゲー 夏ノ雨 翠ss『雑談その10』

夏ノ雨 翠ss『雑談その10』
説明:共通ルート。雑談その9の五分後。
理香子式弁証法



「納豆ぉ……?あんな腐ったもの食べてるから人間性根が腐るのよ」

「いやいや。発酵食品なんて沢山あるじゃん。リカちんもヤクルト飲んだりするでしょ?」

「飲まない」

「チーズは」

「食べない」

「徹底している……」

「これで分かった?」

「あのね。食べ物なら何にでも菌がついていて、たんぱく質レベルで見ればどれも発酵しているんだけど」

「そのねちねちした理屈が出てくる頭が納豆並みに腐ってるって言ってるの」

「うえーん、桜井〜〜!」

「こっちに振るなよ」

「宗介は納豆嫌いよね」

「フツーだけど。睨むなよ……」

「だってあんなもの摂取する意味が解らない」

「うー……。あんなものってゆーな!」

「納豆臭いから喋らないで」

「今日は食べてない!」

「翠。一度食べたら終わりよ。可哀想に。あなたの腸には納豆キナーゼが棲んでいるの。翠が生きるということは、毎日納豆菌に滋養を与えるということなの。それは恥ずかしいことよ」

「ううー……!」

「悔い改めなさい」

「リカちんは食べ物を粗末にしている」

「あんな腐ったもの買わないから」

「チーズは買ってるはず!」

「買わない」

「牛さんや大豆さんがかわいそうだよ!彼らは何のためにその命を差し出したと思ってるの」

「なにも考えてないわよ」

「違います。誰かに命のリレーをつなぐためです」

「いきなりポエム入らないでよ」

「だからあたしたちがね、おいしく戴いてこそ、彼らも本懐を遂げるというものだよ」

「……なるほど。私たちにおいしく食べられることを信じて、彼らは逝ったというわけ」

「その通りだよ!リカちん……やっとわかってくれたんだ!」

「幸せな最期ね。死んでしまえばもう、勘違いに気付く頭は無いわ」


暗転