エロゲー 夏ノ雨 翠ss『雑談その4』
夏ノ雨 翠ss『雑談その4』
説明:少女漫画的展開に憧れる翠ちゃん
「うーん、髪型変えてみようかなぁ……下ろしたらこんな感じ?ね、桜井。どう思う」
「翠って何で髪伸ばしてんだ?」
「え、そりゃあ……ねえ。女の子ですもの。それより感想を言いなさいよぉ」
「そうなあ……まあ、さらさらと言えないこともないかな」
「ぐいってしないのぐいって。こう、愛でるように撫でるの。鼻で笑ったな今」
「俺の髪とは流石に違うな。なんつーのかコシがある」
「当たり前でしょ……ってねえ、髪の質の話じゃないの。髪型」
「良い匂いがする」
「そういうのは言ってよし」
「なんかさ、間近で見ると不思議だな。こんな長い毛が頭から生えてんのって」
「そうかな」
「だって、ほら引っ張ると手応えが」
「あー桜井それ、気持ち良いかも」
「あれ、怒らないのか」
「もうちょい上の方もやって」
「いいけど……にしても、解いてみると理香子並に長いんだな」
「もう二年くらいは切ってないからね」
「床屋も行ってないのか?」
「美容院はちゃんと行ってるよ。毛先整えてブローしてもらうだけに大金取られるんあ”−それ、きもちい」
「こんな長いの付いてたら邪魔だと思うけどなぁ……それに重いだろ。キロあるんじゃねえの」
「重いのはあるかも。慣れちゃうけど。ばっさり切るとあんまり頭が軽くって自分でびっくりするんだよね」
「おお、ずっと伸ばしてた訳じゃないのか」
「最後にショートにしたの中学校上がった頃だから、ずっと昔だよ。今ショートにすると、こんな感じ?」
「分からん」
「薄目で見て、手で持ってる先は無いものとして」
「大して変わらない……?」
「変わるよぉ!言っておくけど、それ女の子にとって死刑宣告に等しいからね」
「……ショートにした方がスッキリするんじゃないか」
「桜井はどっちが好き?」
「そうなぁ……ちょっとこっち向いてみ」
「真面目に考えられると照れるんだけど」
「やっぱ長いほうがいいかな」
「ふうん」
「大は小を兼ねる?」
「なんか褒められてない気がする……男の子ってさ、長い髪が好きなんでしょ?」
「どうだろうな」
「然し気を付けないと不可ない。恋は罪悪なんだから。私のところでは満足が得られない代わりに危険もないが――君、黒い長い髪で縛られた時の心持ちを知っていますか、みたいな」
「何それ」
「あたしの座右の銘」
「長いな!」
「意訳すると、黒髪ロングには逆らえない」
「そっちでいいじゃん座右の銘」
「欲しいならあげるよ」
「いらない」
「桜井にはぴったりだと思うけどなぁ。リカちんには逆らえない、と言い換えてもよし」
「理香子の髪はあれ、どうなってるんだろうな」
「どうって?」
「なんかこう、振り返るとふぁさーって広がってきゅっと纏まるじゃん」
「こういうことかな。ふぁさーって」
「お前のはふぁさー止まりなんだよ」
「なんか凄いムカつくんだけど」
「仕方ないだろ事実なんだから」
「なんだよぉもう……確かに、リカちんと比べるのは無謀かも知れないけどさ」
「自分で言い出して自分でヘコむなよ……」
「あたしだって、ある日突然髪の毛下ろして男の子の一人や二人ドキッとさせてみたい」
「翠は今のままでいいよ」
「え……なんで」
「後ろ向いてると理香子と見分けづらい」
「だと思ったよ!」
暗転